
写真: El sol de México
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アヨツィナパ遺族が検察官に不信 表示発言で辞任要求
メキシコの大統領官邸において、アヨツィナパ事件で失踪した43人の学生の遺族が2025年5月27日、特別検察官Rosendo Gómez Piedra氏の辞任をClaudia Sheinbaum大統領に要求した。理由は、「遺体の捜索」に関する発言により信頼を失ったことにある。
アヨツィナパ遺族が検察官に辞任要求 「遺体を探す」発言で信頼喪失
アヨツィナパ事件で行方不明となった43人の学生(normalistas)の遺族は2025年5月27日、Ciudad de MéxicoのPalacio Nacional(国立宮殿)にてClaudia Sheinbaum大統領と非公開会談を実施した。会談終了後、遺族代表であるMelitón Ortega氏は記者団に対し、現在の特別検察官Rosendo Gómez Piedra氏の辞任を強く求めたと明かした。
辞任要求の理由は、Gómez Piedra検察官が記者団に対し「現在は遺体を捜索している(se buscan cadáveres)」と述べたことにある。Ortega氏は、「私たちは最初から『生きたままの引き渡し(presentación con vida)』を求めてきた。その要求を否定する発言は、遺族に対する裏切りである」と断言した。
遺族側は、この発言が政府の捜査方針を事実上「死亡前提」に転換させたものと解釈し、Gómez Piedra検察官に対する信頼を完全に失ったと表明した。
捜査実績を強調する検察側と結果を重視する遺族
検察官Gómez Piedra氏は、会談に先立ち記者団に対し、就任以来の捜査実績を公表した。具体的には、「800カ所以上の捜索地点を訪問し、120人を逮捕、46件の訴訟を提起した」と報告した。
同氏は、「43人の所在は未だ不明だが、捜査は継続している」と強調し、進展のない現状について責任を否定した。
一方、遺族側はこの説明に納得していない。Ortega氏は、「捜索件数や逮捕者数ではなく、生存者の発見こそが成果である」と述べ、現政権の捜査方針が形骸化していると批判した。

シェインバウム政権は「家族の同意なく進捗を公開しない」方針を継続
Claudia Sheinbaum大統領は、会談前に行われた毎朝の定例会見(conferencia mañanera)において、アヨツィナパ事件の捜査進展について「家族の了承がある場合に限り公表する」との立場を示した。
Sheinbaum氏は「真実と正義のために、まず遺族と向き合う責任がある。情報公開は彼らの許可が前提である」と発言した。これは、前政権で問題視された「情報の一方的な開示」に対する反省を反映したものと見られる。
ただし、この方針が一部の遺族や支援団体から「透明性の欠如」と受け取られている側面もある。今回の会談は約1時間で終了し、次回の会談は7月末に行われる予定である。
被害者団体内部の分裂と政治的緊張も浮上
元遺族代表のFelipe de la Cruz氏は、今回の会談に自身のグループが「排除された」として懸念を表明した。de la Cruz氏によれば、Centro ProDH(Centro de Derechos Humanos Miguel Agustín Pro Juárez:ミゲル・アグスティン人権センター)や弁護士団との意見の相違が原因で、主流グループから分裂したという。
さらに、彼は「大統領が誰を入れるか決めるなど、私たちも被害者であるのに不平等だ」と訴え、事件の扱いが政治的な配慮に偏っていると警告した。
加えて、Igualaで殺害された学生の母親までもが今回の会談から除外されたことが判明しており、政府と遺族間の信頼関係がいまだ確立されていない状況が浮き彫りとなっている。
今後の捜査体制と政治対応に注目
今回の辞任要求が政府に受け入れられるかは不透明であるが、Sheinbaum政権は人権問題への対応を重視していることから、一定の見直しが行われる可能性がある。
アヨツィナパ事件は2014年にGuerrero州Iguala市で発生し、治安当局と麻薬組織の関与が指摘された重大な強制失踪事件である。国際連合のComité contra la Desaparición Forzada(強制失踪対策委員会:CED)や国際人権団体も継続的な監視を続けている。
Sheinbaum大統領は、「この問題を国家の責任として引き受ける」との方針を表明しており、捜査体制の再編や検察機関の人事見直しが今後の焦点となる。

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