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CDMXが動物福祉改革を施行 暴力のない闘牛を合法化
2025年3月26日、Ciudad de México(CDMX/メキシコ市)政府は、corridas de toros sin violencia(暴力のない闘牛)を合法とする法改正を施行し、動物に対する暴力を明確に禁止した法的枠組みを整備した。
この改正は、2025年3月18日にCDMXの議会(Congreso de la Ciudad de México/メキシコ市議会)で可決され、1週間後の3月25日に政府機関であるConsejería Jurídica(法務顧問局)が官報(Gaceta Oficial de la Ciudad de México)第1574号で公布した。
対象となるのは、「Ley de Protección y Bienestar de los Animales(動物保護・福祉法)」および「Ley para la Celebración de Espectáculos Públicos(公共イベント開催法)」であり、いずれも動物に対する暴力・死傷行為を禁止し、それを回避した形式の闘牛のみを認可する形となる。
今回の法改正は、闘牛業界による事前の反発や司法上のamparo(訴訟差止請求)への備えとして、「decreto blindado(保護された布告)」としても注目されている。
法改正で定義された“暴力のない闘牛”とは何か
今回の法改正により新設された条文において、以下のような定義と制限が明記された。
まず、Ley de Protección y Bienestar de los Animalesの第4条に追加された第XXV BIS 7項では、以下のように記載されている。
「corridas de toros, novilladas, rejoneo, becerradas, festivales taurinos y tientas(闘牛、若牛の闘牛、騎馬闘牛、子牛の闘牛、闘牛フェスティバル、選抜テスト)を含む全てのイベントにおいて、動物にいかなる傷害も与えず、イベント中または終了後にも死に至らしめない形式で実施すること」
また、同法第25条には、第XXII BIS項が追加され、次のように明確に禁止している。
「動物に対して、イベント中または終了後にいかなる傷害または死亡を引き起こすcorrida(闘牛)形式は実施を禁止する」
このように、暴力のない形式であれば闘牛文化を存続させつつ、動物福祉の観点を法的に保護することが明記された。
さらに、違反に対しては厳しい経済制裁も規定された。第65条に新たに追加された項目では、違反が確認された場合、1頭につき226,280〜339,420ペソの罰金が科されると定められている。
公共イベント法も変更 15分・6頭までに制限
CDMXにおける公共イベントを規制する「Ley para la Celebración de Espectáculos Públicos」においても、corridas de toros sin violenciaに関する定義と制限が導入された。
新たに第3条に追加されたfracción tercera bis(第三項bis)では、「espectáculo taurino sin violencia(暴力のない闘牛ショー)」の概念を定義し、それを実施するtorero(闘牛士)およびrejoneador(騎馬闘牛士)の定義も追記された。
第48条では動物の生命とintegridad(身体的完全性)を保護することを明文化し、corridaの時間は1頭につき15分を上限とし、イベントあたりの最大頭数を6頭までに制限している。
これらの制限は、動物の過度なストレスや長時間にわたる接触を防ぐ目的で導入されており、法的には今後180〜210日以内に必要なreglamento(施行規則)が整備される予定である。
司法・行政手段による差止請求を封じる“ブラインド布告”
今回の法改正には、法的・政治的にも重要な側面がある。それは、いわゆる“blindaje jurídico(司法的保護)”が施されたことである。
地元メディア「El Universal」によれば、法案の審議中に闘牛業界の事業者やganaderos(闘牛用牛の生産者)らが「訴訟差止(amparo)」を予告していたが、それに先んじて今回の法改正には、以下の一文が盛り込まれた。
「Se derogan todas aquellas disposiciones que contravengan el contenido del presente decreto.(本布告に反するすべての規定は廃止される)」
この「第5条経過規定」によって、以前の法体系や行政判断に基づいたamparoによる異議申し立てを実質的に封じる構造となっており、闘牛業界側が即時に差止を求めることは困難となった。
これにより、CDMX政府は少なくとも今後半年から1年間にわたり、「暴力のない闘牛」制度の整備を安定して進める土台を築いたといえる。

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