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自動車輸出が7.1%減、関税の影響で急減速
2025年4月、INEGI(Instituto Nacional de Estadística y Geografía:国立統計地理情報院)が発表した貿易統計によれば、メキシコの自動車輸出は前年同月比で7.1%減少した。これは前月3月の6.2%増からの大きな反転である。
最大の要因は、アメリカ政府による関税措置である。アメリカ向け自動車輸出は8.0%減少し、メキシコの輸出全体に大きな影響を与えた。アメリカ以外の国への自動車輸出も1.3%減少しており、全体として自動車産業は停滞の局面を迎えている。
この背景には、アメリカのドナルド・トランプ政権が実施した関税率の変動がある。自動車関税は25%から15%に引き下げられたが、T-MEC(Tratado entre México, Estados Unidos y Canadá:メキシコ・アメリカ・カナダ協定)に基づく優遇関税の適用要件を満たせない企業が多く、実質的な負担は依然として大きい。
他の製造業輸出は14.3%増、輸出統計を下支え
自動車輸出の減少がメキシコ経済に与える影響は大きいが、他の製造業部門の成長がその影響を一部相殺している。4月の製造業輸出全体は前年比6.6%増で、そのうち自動車以外の製造業輸出は14.3%の伸びを記録した。
特に電機、医療機器、家電製品などの分野が好調であり、T-MECの恩恵を受けやすい構造を持つ企業群が成長を牽引した。これらの産業は、原産地規則を満たす割合が高く、関税の優遇を受けやすいため、輸出環境において有利に立っている。
この動向は、製造業全体の多角化と戦略的サプライチェーンの再構築が奏功していることを示しており、自動車産業依存からの脱却を目指す動きとも重なる。
アメリカの関税政策に翻弄されるメキシコ輸出
アメリカ市場に依存するメキシコの輸出構造は、関税政策の変動に極めて敏感である。Monexのエコノミストによれば、「アメリカの関税政策はメキシコの輸出環境に直接的な影響を与えており、企業のリスクマネジメントや仕入れタイミングにも大きなゆらぎを生んでいる」という。
RankiaのHumberto Calzada氏は、3月の自動車輸出増加は、アメリカのインポーターによる「先回り的な在庫確保」だった可能性が高いと指摘する。4月に入り関税の詳細が不透明な中、買い控えが発生し、数字に如実に表れた。
今後もこの「関税リスク」は継続し、輸出企業は月ごとに戦略を再考する必要がある。とくにT-MECの再交渉が控える中、企業は関税免除の要件を満たすために供給網の見直しを迫られる。
鉱業・製造業が堅調、農業・石油は減少傾向
輸出全体では前年比5.8%の成長を維持しているが、分野ごとに明暗が分かれている。鉱業は前年比46.4%増と大きく伸長し、12か月連続のプラス成長を記録した。特に金属資源の国際価格上昇とアジア市場向けの需要増が背景にある。
一方で、石油輸出は13.2%減少し、農業部門も7.1%減と低迷した。農産物輸出はこれで3か月連続のマイナスとなり、過去16か月で最大の減少幅を記録した。
これにより、輸出の伸びは製造業と鉱業に依存する構造が鮮明になっており、一次産業やエネルギー分野の低迷は引き続き課題である。

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