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メキシコ政府のフェンタニル押収が増えるもアメリカ政府は満足せず

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写真: El sol de Mexico

メキシコのフェンタニル取締り強化も、トランプの関税を阻止できず


ドナルド・トランプ大統領は、大統領選挙の公約としてフェンタニルの密輸撲滅を掲げていた。そして、2025年2月3日(土)、メキシコに対し、関税を課すことで、より強力な麻薬対策を講じるよう圧力をかける措置に踏み切った。

米国のトランプ大統領は、メキシコの麻薬カルテルを「テロ組織」に指定し、メキシコに対する関税を課すと脅していた。これを受け、メキシコ政府は麻薬取締戦略を強化した。

クラウディア・シェインバウム大統領の政権発足以来、治安政策が変更され、10州で139の違法薬物製造ラボが解体され、90トンの違法薬物が押収された。その中には1,252キロのフェンタニル738,970錠のフェンタニル錠剤が含まれている。

しかし、こうした取り組みも十分ではなかった。トランプ大統領は、選挙キャンペーン中から繰り返し警告していた通り、メキシコ製品に25%の関税を課すことを決定した。さらに、中国とカナダにも、それぞれ25%と10%の関税を適用した。彼は、その理由として、「メキシコはフェンタニルの密輸を阻止するための十分な対策を講じていない」と主張している。

同日、ホワイトハウスは声明を発表し、「メキシコ政府は麻薬カルテルと密接な関係を持ち、フェンタニルの製造・流通に関与している」と非難した。フェンタニルは米国で毎年75,000人以上の死亡者を出している致死性の高い麻薬であり、トランプ政権はその取締りを最優先課題としている。

これに対し、シェインバウム大統領は「事実無根の誹謗中傷だ」と一蹴し、米国の「内政干渉」を批判した。また、米国の銃器販売業者を名指しし、「麻薬カルテルに武器を供給しているのは米国の銃器販売業者だ」と述べた。そして、「フェンタニルの消費問題に真剣に取り組むのであれば、まずは自国のストリートでの薬物販売を取り締まるべきだ」と指摘した。


フェンタニル押収量が急増


メキシコ政府は、2024年10月から2025年1月にかけて違法薬物製造ラボの解体を進め、239,361リットルの前駆物質(フェンタニルの原料となる化学物質)を押収したと発表した。

前政権のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の第6回政府報告書によると、2018年12月1日から2024年6月30日までの間に、メキシコ政府はフェンタニル5,515トンを押収し、さらに3,390万錠の錠剤と8,382本のフェンタニル入りアンプルを押収したという。

また、クラウディア・シェインバウム大統領の政権下では、わずか4カ月間で2020年の年間押収量に匹敵する量のフェンタニルが押収されたことが報告されている。

さらに、10,148人の麻薬密売組織のメンバー(組織の幹部や広域犯罪の首謀者を含む)が逮捕され、4,000丁以上の高性能武器が押収されたことも明らかになった。


メキシコ政府のターゲットはシナロア・カルテルとCJNG


米国国務省(Departamento de Estado)米国麻薬取締局(DEA: Administración de Control de Drogas)は、15のメキシコの犯罪組織が米国内で活動していると報告している。その中でも、シナロア・カルテル(Cártel de Sinaloa)は、2023年以降、フェンタニル製造と密輸の主犯格とされており、次いでハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン・カルテル(CJNG)も主要な組織として特定されている。

2024年10月から2025年1月の間に、メキシコ政府はこれらの組織に対し少なくとも20回以上の大規模な作戦を実施した。

治安内閣を指揮するオマール・ガルシア・ハルフチ(Omar García Harfuch)安全保障長官は、シナロア・カルテルとCJNGの活動を抑え込むだけでなく、カルテル内部で繰り広げられている抗争の封じ込めにも注力している。

シナロア・カルテル内部では、ホアキン・“エル・チャポ”・グスマン(Joaquín “El Chapo” Guzmán)の息子たちが率いる「Los Chapitos(ロス・チャピートス)」と、イスメル・“エル・マヨ”・サンバダ(Ismael “El Mayo” Zambada)の派閥「La Mayiza(ラ・マイザ)」との間で激しい対立が続いている。

「エル・マヨ」は2024年7月、米国で逮捕されたとされるが、逮捕の詳細は不明であり、米国政府が関与した可能性も指摘されている。この事件は、Sinaloa州における暴力の激化を招いた。

米国当局は、「ロス・チャピートス」をフェンタニル対策の最優先ターゲットに位置付けている。


過去最大規模のフェンタニル押収作戦


2024年12月3日と5日、メキシコ政府はシナロア・カルテルの「ロス・チャピートス」に対し、大規模な捜査を実施した。

  • 12月3日:Sinaloa州で史上最大のフェンタニル押収作戦が実施され、1トン以上の錠剤が押収され、2人が逮捕された。
    • 押収された薬物は2,000万回分の使用量に相当し、組織への損失額は約80億ペソ(4億ドル)と推定されている。
  • 12月5日:Adrián Cerberos Pereyra(通称“El Gallero”)が逮捕された。
    • 彼は合成麻薬(メタンフェタミンとフェンタニル)の主要生産者の一人とされる。

この押収作戦は、メキシコ政府が「史上最大のフェンタニル押収」と発表し、当時の米国大統領ジョー・バイデンも称賛した。

「クラウディア・シェインバウム大統領のリーダーシップと協力に感謝します。また、フェンタニル撲滅に尽力する両国の軍と法執行機関に敬意を表します」とバイデン元大統領はSNSでコメントした。

シェインバウム大統領も、「4カ月で40トン以上の薬物を押収し、その中にはフェンタニル2,000万回分も含まれる」と述べ、メキシコ政府の成果を強調した。

メキシコ政府の自作自演という声


メキシコ政府が、フェンタニルの押収をアピールする中、それも含め自作自演だという指摘もある。つまりメキシコ政府は、裏で麻薬カルテルと繋がりがあり、アメリカに指摘された際にフェンタニルを押収する情報を流しているという意見だ。実際、メキシコの地方議員や地方の財務大臣等が、麻薬カルテルと繋がりがあった事は何度も報じられてきた。

そうした議員の背景には、意図せずに麻薬カルテルに勧誘され家族等の人質を取られ繋がりを持つ者もいれば、金銭的な勧誘を受けて意図的に繋がりを持つ者もいる。また麻薬カルテルからの勧誘を断って殺害されるケースもある。

メキシコの麻薬カルテルの支配は、既にメキシコ政府にも及んでおりトランプ大統領が指摘する問題は、かなり深いものであり、数年で解決出来るものではないだろう。それを踏まえると25%関税が撤廃されるのは、まだまだ先になる可能性が高い。

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