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メキシコ信託規制と司法権改革で銀行参入促進

Banco de México building
写真: Economista

信託規制見直しで銀行参入を促進


メキシコ銀行協会(Asociación de Bancos de México:ABM)の会長Emilio Romano氏は、2025年9月に発足する新たな司法権(Poder Judicial)改革を活用し、銀行業界による信託(fideicomisos)業務への再参入を進める意向を明らかにした。この動きは、アメリカ合衆国が金融機関Vector、Intercam、CI Bancoをマネーロンダリングおよび麻薬密売に関連する懸念先として指摘したことを受けた対応の一環である。これを受けてメキシコ財務省(Secretaría de Hacienda y Crédito Público:Hacienda)はこれらの金融機関に介入し、特に信託業務の運営をメキシコの開発銀行へ移行する措置を講じた。

Romano氏は「多くの銀行は信託事業から撤退している。メキシコでは信託の清算手続きに課題があり、非常に高いリスクを負っても報酬は極めて限定的だ」と述べた。この状況を受け、ABMは司法制度の改革を契機に信託業務への銀行の再参入を促そうとしている。

訴訟長期化と専門裁判所による解決


信託業務から銀行が撤退した理由のひとつは、信託関連の訴訟が長期化しやすく、収益性が低いためである。Romano氏は「訴訟は何年もかかる一方で、銀行が得られる手数料はきわめて控えめだ」と説明する。この課題解決のため、ABMは地方に専門の商事裁判所(tribunales especializados locales)を増設する計画を示した。これにより訴訟処理の迅速化を図り、リスク軽減によって銀行の信託業務参入を後押しする狙いがある。

Romano氏は「すでに存在する専門裁判所を地方ごとに強化し、即応性の高い司法アクセスを提供することが重要だ」と強調した。

長期放置された信託の処理促進


もう一つの課題は、長期間放置された信託の存在である。Romano氏は「30年、40年、50年も放置され、誰も費用を支払わない信託が存在する」と指摘した。こうしたケースに対し、ABMは銀行側の法務担当者、財務省(Hacienda)、国会と協力し、信託終了や清算手続きを円滑化する法整備を進める方針を示した。

これにより、銀行が抱える「費用を回収できないまま放置される信託」の問題を解消し、業務の効率性を向上させることが期待されている。

司法権改革で地方の投資環境改善


Romano氏は「主要都市に専門裁判所を設置することが地方投資の促進にもなる」と指摘した。現在、銀行が関与する未決の担保付き信用訴訟(担保権実行関連)の件数は56,000件を超える。これらを迅速に解決できる司法制度を構築すれば、銀行業務が再び活発化し、地方経済の投資環境も改善されると見込まれる。

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米国制裁の延期と秩序ある移行


米国財務省(U.S. Department of the Treasury)は、Vector、Intercam、CI Bancoに対する米国企業との取引禁止措置について、その発効を9月4日に延期すると発表した。メキシコ財務省(Hacienda)と協議のうえで得られた猶予であり、これにより信託業務を開発銀行などに秩序立てて移行させる時間が確保された。

特にCI Bancoは、3兆ペソを超える信託資産を保有する最大手であり、この移行時期は銀行業界にとって信託市場への復帰の好機となっている。

信託の契約構造の複雑さと銀行の慎重姿勢


Iberoamericana大学のPablo Cotler教授は「信託は契約内容によって大きく異なる。簡単に終了できるものもあれば、条件が複雑で解約できないものもある」と説明する。また米国からの指摘を受けたこともあり、銀行が信託業務に「慎重な姿勢を取る」ことが予想される。

Cotler氏は「各銀行は、どの信託を自らの事業に組み込むべきか慎重に検討するだろう」と述べ、信託市場の回復が段階的になる可能性を指摘した。

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