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Iberdrola再撤退、メキシコ投資環境に警鐘

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写真は、イメージ

Iberdrolaが再度の売却検討、投資環境への懸念が背景


スペインの電力大手Iberdrolaが2025年、メキシコ国内に残る15の発電所を売却する準備を進めており、推定額は40億ユーロにのぼる。売却対象の発電所は、合計2,600メガワット分の発電能力を持ち、技術的には風力、太陽光、コージェネレーション、コンバインドサイクルなど多様な方式を採用している。設置地域はCoahuila、Nuevo León、Querétaro、Sonora、San Luis Potosíなど広範囲にわたる。

この売却について、スペインのEl Confidencial紙は、IberdrolaがBarclays銀行をファイナンシャルアドバイザーとして起用し、売却交渉を主導していると報じた。

これにより、2024年に実施された13基の発電所売却(62億ドル、8,539メガワット相当)に続くかたちとなり、メキシコ市場からの事実上の段階的撤退が進む見込みである。

法的安定性の喪失がIberdrola撤退の要因


エネルギー分野の専門家Arturo Carranza氏やIMCO(Instituto Mexicano para la Competitividad:メキシコ競争力研究所)の経済開発部長Óscar Ocampo氏は、今回の動きの本質は「投資環境の悪化」にあると指摘する。単なるオペレーター変更による電力供給の継続には大きな問題がない一方で、Iberdrolaの決断は、メキシコの規制環境と法の支配に対する深い懸念を示している。

Carranza氏は、規制面での不透明さに加えて、最近の司法制度改革に対する懸念も企業の判断に影響を及ぼしていると述べた。特に、企業が政府と対立した場合に、裁判所が公正な判断を下すかどうかに疑念が生じているという。

Iberdrola自身も、2025年上半期の決算報告書で「メキシコ市場は新たな電力規制枠組みの整備中であり、複数の施行規則と法制度の調整が未了」とし、現状の投資先としての魅力が低下していると明言している。

投資配分わずか1%、英国・米国へシフト


Iberdrolaが公表した2025年上半期の財務報告によると、全体の投資額は56億6200万ユーロに達し、前年同期比で7.3%増加した。しかし、その中でメキシコに向けられた投資はわずか1%にとどまり、金額にして5700万ユーロ。内訳は再生可能エネルギー部門が400万ユーロ、発電および顧客部門が5300万ユーロである。

これに対し、英国には32.2%、アメリカ合衆国には29.2%、ブラジルには14.1%、スペインには13.4%が投資された。つまり、Iberdrolaは安定した法制度と成長可能性が見込まれる市場に重点を置いていることが明白である。

同社は「法的安定性が保証される市場に注力する」と報告書で明記しており、メキシコが今後の主要市場から外れる可能性を強く示唆している。

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政府との対立と司法制度改革の影響


Iberdrolaとメキシコ政府の関係は、2018年に前大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権が発足して以降、緊張状態が続いていた。2019年以降、政府はIberdrolaに対して、CFE(Comisión Federal de Electricidad:連邦電力委員会)を不当に圧迫する行為や、市場の独占的支配を狙っているとして強い批判を繰り返してきた。

特に2022年6月、CRE(Comisión Reguladora de Energía:エネルギー規制委員会)は、Iberdrolaに対して91億4500万ペソの巨額罰金を科した。これは、Energía Monterrey発電所が400社近くの企業に電力を不正に供給していたという容疑によるものである。

翌月には連邦裁判所がこの罰金に対する一時停止を認めたが、事態の沈静化には至らなかった。2023年4月、政府とIberdrolaは13の発電所を政府側が買収することで合意したが、その過程では複数の仲裁手続きの終了が条件とされた。2023年10月には罰金が免除される決定が下されたが、それでも政府との関係修復は進まず、翌2024年2月には13施設の売却が完了した。

これらの経緯を踏まえ、今回の追加売却もまた、司法制度改革や法の支配に対する企業側の信頼が損なわれた結果といえる。

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