
シェインバウム大統領、全国電話ユーザー登録制度の創設を提案
メキシコのClaudia Sheinbaum(クラウディア・シェインバウム)大統領は、全国の電話ユーザーを対象とした「Plataforma de Identificación de Usuarios de Telefonía Móvil(携帯電話ユーザー識別プラットフォーム)」を創設する法案を議会に提出した。これは、以前に廃止されたPadrón Nacional de Usuarios de Telefonía Móvil(Panaut、全国携帯電話ユーザー登録制度)に類似したものである。
新法案の目的と対象
政府は、この制度の目的を犯罪の防止と捜査の強化と説明している。特に、恐喝や誘拐といった犯罪において、匿名の携帯電話が使用されるケースが多いことを防ぐためとしている。
このプラットフォームは、Agencia de Transformación Digital y Telecomunicaciones(ATDT、デジタル変革および電気通信庁)が管理を担当し、全国の電話ユーザー1億4,830万人の情報を収集・管理する予定である。登録には以下の情報が必要となる。
- メキシコ国民:CURP(個人識別番号)、INE(選挙人証明書)、RFC(納税者登録番号)
- 外国人居住者:パスポートまたは滞在許可証
さらに、Telcel、AT&T、Telefónica、その他の通信事業者は、登録されていない電話番号の無効化を義務付けられる。
Panautとの類似性と過去の判例
この提案は、López Obrador(ロペス・オブラドール)前政権が推進したPanautと非常に似た内容となっている。しかし、Panautは2022年にSuprema Corte de Justicia de la Nación(SCJN、最高裁判所)によって違憲と判断され、廃止された経緯がある。
当時の最高裁判決では、
- 個人情報の過剰な収集がプライバシー権を侵害する
- 国家が大規模データベースを管理することによるリスク
が指摘され、登録制度の導入は憲法違反とされた。
しかし、今回の提案では、Panaut時に比べ司法監視機関であるInstituto Nacional de Transparencia, Acceso a la Información y Protección de Datos Personales(INAI、国家透明性・情報アクセス・個人データ保護機関)が廃止されているため、異議申し立ての機会が制限される可能性がある。
反対意見と懸念
デジタル権利保護団体Red en Defensa de los Derechos Digitales(R3D)のLuis Fernando García(ルイス・フェルナンド・ガルシア)代表は、
「Panautを違憲と判断した最高裁の構成が変わったことで、今回は法案が通る可能性が高まった」
と指摘している。
また、
- 個人情報流出のリスク
- 政府による監視強化の懸念
- 企業側の技術的・財政的負担の増大
なども批判されており、企業や市民団体が強く反対している。
今後の展開と影響
この法案が可決されれば、メキシコの電話ユーザーは義務的に情報を提供しなければならなくなる。特に、未登録の電話回線が停止される可能性があるため、通信業界にも大きな影響を与える。
また、メキシコ国内でのプライバシー保護の基準や、デジタル時代における個人情報管理のあり方に対しても、新たな議論が巻き起こることが予想される。

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