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麻薬ドローンの使用拡大に対し、メキシコ政府は国境リスクを否定
メキシコの大統領クラウディア・シェインバウムは2025年7月23日、水曜の定例記者会見において、アメリカとの国境地帯での「麻薬ドローン(narcodrones)」に関する現在のリスクについて、「特に警戒を要する事象は確認されていない」と述べ、現時点での脅威は否定した。
この発言は、アメリカ側の複数の治安機関関係者が、麻薬組織によるドローンの武器化や密輸への使用が拡大しているとの懸念を表明したことを受けて行われた。特に、2024年以降、爆発物や薬物を搭載したドローンによる攻撃や越境事案が増加しているとされ、メキシコ政府の対応が注目されていた。
アメリカ政府は27,000件以上のドローン飛行を確認
アメリカの国土安全保障省(Department of Homeland Security)の高官スティーブン・ウィロビー氏は、2025年に米上院にて証言を行い、2024年から2025年の期間にかけて、アメリカとメキシコの国境から半径500メートル以内において27,000件以上のドローン飛行を確認したと報告した。
さらに、2023年10月には、メキシコ側から越境したドローン1機が1.63キログラムのフェンタニル錠剤を搭載していたことが明らかとなっており、こうした事例が一部で現実に発生していることが浮き彫りになっている。
これを受けて、アメリカ側ではFBIやDEA(麻薬取締局)などの連邦機関が、メキシコ政府との協力体制を強化し、越境ドローンの監視と防止策の構築に着手している。
メキシコ海軍は「商用ドローンの不正利用に過ぎない」と強調
メキシコ海軍(Secretaría de Marina:海軍省)のレイムンド・ペドロ・モラレス・アンヘレス長官は、同日の会見にて「現時点で国内において確認されているのは、主に商用またはレクリエーション用のドローンであり、これが犯罪組織によって違法目的に転用されているものである」と説明した。
その上で、「北部国境地帯においては、これらのドローンが武器や薬物の密輸に使用されたという具体的な証拠は現在のところ得られていない」と付け加え、麻薬組織によるドローンの軍事利用の可能性は限定的であると強調した。
また、シェインバウム大統領も「過去に一部の事件が報告されたことは事実だが、直近において越境や武装ドローンの使用といった脅威が確認されたわけではない」と述べ、現段階での危機は存在しないという政府の立場を再確認した。
双方の政府が協力体制を継続、技術的対応を強化
アメリカとメキシコは、越境ドローン問題を含む治安課題に対し、これまで以上に連携を強めている。FBIや国土安全保障省(Department of Homeland Security)は、メキシコの国防省(Secretaría de la Defensa Nacional:国防省)や海軍省(Secretaría de Marina)とともに、捜査官や兵士への研修、技術支援、監視装置の導入に関する合同プログラムを展開しており、国境沿いにおけるドローンの探知と追跡能力を高める取り組みが進行中である。
これに対し、シェインバウム政権は「引き続きアメリカ当局と情報を共有し、いかなる脅威にも即座に対応できる体制を維持する」とし、緊張を高めず冷静に対処する姿勢を示している。
また、メキシコ国内では、民間市場で流通するドローンの販売記録や所持管理に関する法制度の見直しも議論されており、今後、違法な使用を抑制するための規制強化が予想される。

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