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寄生虫発生でメキシコ畜産業に6,800億ペソの損失見通し
メキシコの畜産業界は、Gusano Barrenador del Ganado(牛穿孔蠅幼虫)の再発生によって、2025年末までに6,800億ペソの追加コストを負担する見通しとなっている。これはAsociación Mexicana de Productores de Carne(メキシコ肉生産者協会:Ameg)の試算によるもので、現在進行中の防疫措置や衛生管理体制の強化によるコストが主な要因である。
この寄生虫は、家畜に皮膚疾患や感染症を引き起こす危険なミバエの一種であり、放置すれば急速に畜産物の質を損なう。7月9日にVeracruz州で感染が確認されて以降、アメリカ合衆国は即座に国境を閉鎖し、メキシコからの生体牛の輸入を停止した。これにより、メキシコの畜産業界は月あたり510億ペソ相当の輸出損失を被っている。
肥育用ケージ1台につき12万ペソ 頭あたり1,600ペソの追加出費
AmegのEnrique López会長は、7月に開催された記者会見で、感染防止措置として1つの肥育用ケージ(平均75頭収容)ごとに122,000ペソの追加コストが発生していると説明した。これにより、1頭あたり1,600ペソのコスト増加となっている。
この追加コストには以下が含まれている:
- 獣医による個別検査費
- 殺虫剤および治療薬
- 衛生処理(防疫用シャワーなど)
- 輸送・文書手続き費
- 飼料・給水管理費
- 検査場までの輸送トレーラーの燃料・運行費
- 国境停止による肥育期間延長による肉質低下と減収
これらの費用はすべて畜産業者が自己負担しており、業界全体での損失額は急拡大している。
1984年の被害は22億8,000万ペソ 再拡大すれば1.4兆ペソに
政府が発表したリスク分析資料によると、1984年の同様の寄生虫による被害は22億8,000万ペソに達していた。また、1960年から1991年までに行われたアメリカとメキシコ両国における寄生虫の根絶作戦には、当時の価格で127億5,000万ペソ(2020年換算で1,623億5,000万ペソ)が費やされたという。
今回の再拡大を警戒し、政府は最大1.4兆ペソ(830百万ドル相当)もの損失が将来的に発生する可能性があると警告している。これは牛肉輸出産業全体の存続を左右する金額であり、感染の完全封じ込めが急務となっている。
米国の国境閉鎖は8か月で3度目 900頭輸出後に即座停止
アメリカ合衆国農務省(USDA)は2025年7月9日、Veracruz州での感染発生を受けて、メキシコからの牛の輸入を再び停止した。この決定は、Brooke L. Rollins長官によって発表され、メキシコ国内に大きな波紋を広げた。
この再停止は、直前の7月6日に一時的な再開が行われたわずか3日後のことであり、その間に輸出されたのはわずか900頭にとどまった。これにより、畜産業者の輸出再開への期待は打ち砕かれる結果となった。
現在、AmegとServicio Nacional de Sanidad, Inocuidad y Calidad Agroalimentaria(国家衛生・無害性・農産物品質サービス:Senasica)は、感染封じ込めのために以下の対策を強化している:
- 個体単位での検査
- 遺伝子トレーサビリティ管理
- 汚染ルートの遮断
- 薬品投与と殺虫管理の徹底
López会長は、「われわれはこの状況を真剣に受け止め、業界として責任をもって費用を負担して対応している」と述べている。

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