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航空政策とアメリカ圧力、AICM貨物移転の真相

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メキシコ政府が2023年2月、アメリカ航空貨物会社にAICMからAIFAへの移転を命じたことに対し、アメリカが合意違反を指摘し制裁措置を決定。

AMLO政権のAIFA優遇策が生んだ対立


メキシコ政府は2023年2月、Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México(AICM:メキシコシティ国際空港)の混雑解消を名目に、貨物専用航空会社に対しAeropuerto Internacional Felipe Ángeles(AIFA)への移転を義務づけた。この措置はAICMの混雑対策として説明されてきたが、アメリカ政府はこれを合意違反とみなして批判している。

2023年1月、当時の大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、AICMの容量不足と老朽化を理由に貨物便の移転計画を発表した。AICMはTerminal 1および2が慢性的に混雑し、運航効率の低下が問題視されていた。しかし、貨物便はAICMの運航全体のわずか3%に過ぎず、その効果には疑問の声も上がっていた。

政府は当初、2023年1月に発表した案で90日間の移行期間を定めたが、貨物会社の反発を受け、期限を延長。それでも最終的に2023年2月、正式に発効した政令で180日以内の移転を義務化した。

アメリカ運輸省の反発と制裁措置


2025年7月19日、Departamento de Transporte(DOT:アメリカ運輸省)は、AICMからの貨物移転を「一方的な措置であり、航空輸送合意に違反する」と非難。DOTによれば、「メキシコ政府はAICMの混雑緩和を理由に貨物便移転を求めたが、そのためのインフラ整備工事は未だ実現していない」と指摘した。

このため、DOTは制裁措置として、すべてのメキシコの航空会社に対しアメリカへの乗り入れ便について厳格なスケジュール提出義務を課すとともに、チャーター便の事前許可制を導入。また、AeroméxicoとDelta航空の提携にも影響する制限を検討すると表明した。

さらにDOTは、「必要な是正措置が取られない限り、メキシコ発の新規路線申請を拒否する権利を留保する」とし、外交的圧力を強めている。

メキシコ政府の立場と移転の背景


この決定の背景には、AIFAの利用率向上がある。AIFAは軍用基地を転用し建設された新空港で、2022年の開港当初から利用者数が伸び悩んでいた。ロペス・オブラドール政権は、AIFAを主要空港として発展させる意向を持ち、定期旅客便や貨物便をAIFAに誘導する政策を次々と実行した。

Rogelio Jiménez Pons交通次官は、「AIFA移転は2022年11月から事業者に説明してきた」とし、移転が突然ではなかったと主張。政府はAICMの混雑緩和と乗客サービスの向上を優先したとしている。

加えて、AICMの発着枠も2023年に見直され、従来の1時間あたり61回から44回に削減。これによりAIFAへの誘導がさらに加速した。

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日系企業への影響と航空業界全体の課題


今回の措置はメキシコ航空業界に大きな影響を与える可能性があり、AIFAのインフラ未整備、アクセス道路や貨物施設の不十分さが懸念材料となっている。特にアメリカとメキシコ間の輸出入貨物を取り扱う日系物流企業にとって、貨物取り扱い空港の変更は物流コストや効率に直結する重要課題である。

例えば、地元メディアEl Financieroによれば、AIFAにはまだ冷蔵倉庫や専用貨物ターミナルが十分整備されておらず、長距離輸送や多頻度輸送への対応力が課題として残されているという。

これらの課題解消が進まない限り、アメリカ側の制裁解除は困難であり、両国航空業界の安定した関係構築には時間がかかる見通しだ。

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