
財政赤字が33%縮小し歳出も3.8%減少
メキシコ政府は2025年上半期、財政赤字を前年同期比で32.9%削減し567,562百万ペソに抑制した。これに伴い、歳出は4兆570,288百万ペソで前年同期比3.8%減少したとSecretaría de Hacienda y Crédito Público(財務公債省、以下SHCP)が発表した。
SHCPは、歳出削減と財政規律を徹底することで、財政健全化の道筋を強化したと説明した。歳出の抑制はサービス提供に影響を及ぼさず、社会プログラムや戦略的インフラ事業の継続を確保するため、効率的な資金運用が行われたという。
特に注目すべきは、財政赤字が当初計画を大幅に下回り、また基礎的財政収支が172,000百万ペソの黒字となり、歳出削減の効果が数字として表れた点である。
歳出抑制の内訳とサブエクシェルシオ
歳出削減の背景には、予定額よりも支出が少なかった「サブエクシェルシオ」がある。2025年上半期のサブエクシェルシオは286,885百万ペソに上り、歳出全体の調整に寄与した。
とりわけ「gasto programable(プログラム可能経費)」が大きく減少した。これは国民へのサービス提供や社会保障など、直接的に市民生活に関わる支出を指す。1月から6月にかけて、この経費は3兆8,000億ペソ規模で執行され、前年同期比で6%の減少となった。さらに、当該分野のサブエクシェルシオは266,804百万ペソに達した。
この動きにより、行政サービスの効率化と財政支出の適正化が進んだものの、一部分野では投資の減少が顕著となった。
インフラ投資の大幅減少とその要因
インフラ投資は、経済成長を牽引する重要な支出項目であるが、2025年上半期においては399,711百万ペソの執行にとどまり、前年同期比で30.4%減少した。
SHCPによれば、この大幅減少は「前年が大統領交代に伴う特異的な投資増の年であったため」とのことだ。Bertha Gómez SHCP歳出次官は会見で、「今回の減少は財政健全化のための単純な削減ではなく、政権全体の支出計画に基づく調整の一環である」と説明した。
つまり、前年の高水準と比較すると落ち込みが目立つが、中長期的な支出計画に沿った調整であり、インフラ投資の意欲が低下したわけではないと強調した。
公債残高と債務コストの上昇
財政健全化の取り組みの一方で、公債残高は増加を続けている。2025年6月末時点で、Saldo Histórico de los Requerimientos Financieros del Sector Público(公共部門金融要件の歴史的残高)は17.7兆ペソに達し、前年同期比で6.8%増加した。
また、deuda(公的債務)のコストも上昇傾向にある。2025年上半期の債務の金融コストは700,474百万ペソとなり、前年比10.8%の増加を記録した。これにより、gasto no programable(非プログラム経費)は775,864百万ペソと、2.7%の増加となった。
SHCPは「金利環境の影響により債務コストは増加したが、歳出抑制によって財政赤字を改善できた」と説明した。
今後の財政運営への影響
今回の財政実績は、メキシコ政府が財政健全化を重視していることを明確に示した。赤字の削減と支出効率化によって、予算の安定性が向上し、今後の外部環境の変動に対する耐性が強まったといえる。
特に、プログラム可能経費の削減とインフラ投資の調整は、短期的には経済成長への影響も懸念されるが、SHCPは「公共サービスの提供と社会プログラムの継続を確保している」と強調しており、必要不可欠な支出は守られている。
今後も政府は、債務コストの上昇に対応しつつ、赤字削減を継続する方針を維持するとみられる。

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