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huachicol fiscalによる日額485万ペソの損失
メキシコにおけるガソリンおよびディーゼルの密輸行為、いわゆるhuachicol fiscal(密輸燃料)が、2024年を通じて連邦政府に深刻な財政的損失をもたらしていることが明らかになった。民間コンサルタントPETROIntelligenceの分析によると、同年における損失額は合計1,771億7,000万ペソ、1日あたりに換算すると約4億8,500万ペソに達する。これは連邦政府のIEPS(Impuesto Especial sobre Producción y Servicios:特別生産・サービス税)による燃料課税収入の実に44%に相当する数字である。
さらに、この損失額は2024年におけるSecretaría de Energía(エネルギー省)の予算(1791億1500万ペソ)に匹敵し、国家財政への影響は極めて大きい。これは単なる税収の逸失にとどまらず、国家エネルギー政策の実行能力そのものを揺るがす問題とされている。
ガソリン価格に与えるhuachicol fiscalの影響
PETROIntelligenceの試算によれば、密輸燃料によって失われた財源を正規流通に還元することができれば、ガソリン・マグナ(Magna)のリットルあたりの価格を2.78ペソ引き下げることが可能であるとされる。
具体的には、密輸による財政損失の内訳は以下の通りである:
- ガソリン・マグナ:1,055億8,100万ペソ
- ガソリン・プレミアム:282億3,500万ペソ
- ディーゼル:433億5,400万ペソ
この結果、密輸燃料の総量は1,879億8百万リットルに相当し、これは国内の合法販売量(626億6,400万リットル)の30%にあたる規模であると、Servicio de Administración Tributaria(国税庁)は推計している。
税制への影響と構造的課題
密輸燃料による主な税収損失は、IVA(Impuesto al Valor Agregado:付加価値税)で1,242億900万ペソ、IEPSで529億6,000万ペソとされており、いずれも消費者が正規購入時に支払う税金である。これらが適正に徴収されていないことは、公平な市場競争を損ない、合法ビジネスへの圧迫要因ともなる。
このような状況を受けて、SHCP(Secretaría de Hacienda y Crédito Público:財務公債省)は、輸入燃料の監視強化と検査体制の再構築を進めているが、港湾や通関における情報連携の遅れや、人員不足がボトルネックとなっている。
Tamaulipasで過去最大の密輸ディーゼルを押収
2024年3月末、Gabinete de Seguridad(治安閣僚委員会)の要請により、Tamaulipas州のAltamiraにおいて、メキシコ史上最大規模となる1,000万リットルの違法ディーゼルが押収された。密輸燃料は、Tampico港に寄港した船舶によって3月19日に搬入されたもので、表向きは「植物油用添加剤」として申告されていた。
押収時には以下の物品も併せて確保された:
- 短銃18発と各種実弾
- コンテナ192基
- トレーラー付きトラック23台、単体トレーラー6台
- コンピューター機器および各種書類
この摘発はFiscalía General de la República(共和国検察庁)の捜査に発展し、Alejandro Gertz Manero検事総長は税関当局と連携した調査が開始されたことを発表した。
Ensenadaの事件と政治家関与の疑惑
同様に2024年3月末には、Baja California州Ensenadaの土地にて、違法な石油類790万リットルが発見され、押収された。この土地の所有者は、Morena党の元上院議員Gerardo Novelo Osuna氏であり、政治的背景を含めた捜査が進められている。
この2件の摘発だけでも合計約1,800万リットルにのぼり、その評価額は432百万ペソに相当するが、それでもなお1日あたりの損失額485百万ペソに届かないことが、密輸規模の甚大さを物語っている。
対策と今後の課題
現状、Pemex(Petróleos Mexicanos:国営石油会社)や税関、港湾管理局などが連携し、違法輸入への監視体制強化を図っている。しかしながら、抜け道は多く、特に第三者企業や外国籍船による「虚偽申告」などの手法により密輸は続いている。
また、SAT(Servicio de Administración Tributaria:国税庁)による新たな追跡・通関電子化システムの導入が始まっているものの、現場での実効性確保には時間を要している状況である。
今後は、より高度な監視技術の導入と、民間輸入業者への事前登録制度の強化、通関プロセスの透明化が不可欠であると専門家は指摘している。

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