
米軍10名がメキシコに入国、海軍特殊部隊を訓練
2025年2月11日、メキシコ上院は、アメリカ陸軍特殊作戦コマンド(United States Army Special Operations Command)の兵士10名のメキシコ入国を承認した。彼らはカンペチェ州San Luis CarpizoにあるCentro de Entrenamiento Avanzado de Infantería de Marina(海軍歩兵専門訓練センター)で、メキシコ海軍の特殊部隊に対して訓練を実施する予定である。
この訓練は、2025年2月17日から3月28日までの約6週間にわたり行われ、主に戦闘技術、戦術、作戦手順の強化を目的としている。米軍とメキシコ海軍の特殊作戦部隊が共同で、海上・陸上・空中の各領域での作戦遂行能力を向上させるための演習を実施する。
軍事協力の狙い—メキシコの安全保障強化
メキシコ上院の海軍委員会に所属するRolando Rodrigo Zapata Bello上院議員は、今回の訓練について「メキシコの国家安全保障を強化するための重要な機会」と述べ、アメリカ軍との協力がメキシコの軍事能力向上に寄与すると強調した。
メキシコはこれまでにも米国との軍事協力を進めてきたが、特に近年では、麻薬カルテルの脅威や国境警備の強化といった安全保障上の課題に直面しており、米国との協力がより重要視されている。
国民行動党(Partido Acción Nacional、PAN)のLilly Téllez上院議員も、「アメリカ軍との協力はメキシコの主権を侵害するものではなく、むしろ国家の治安維持に貢献する」と述べ、麻薬組織への対策として米国との協力を強化するべきだと主張した。
主権への影響と軍事協力の課題
一方で、外国軍の入国に関しては、メキシコの主権や独立性に関する懸念もある。メキシコ憲法第76条によれば、外国軍の入国には上院の承認が必要とされており、今回の決定も慎重に審議された。
メキシコ政府は、今回の軍事訓練は完全に技術的・戦術的なものであり、米軍がメキシコ国内で独自の軍事行動を行うことはないと説明している。しかし、メキシコが米軍の技術や訓練に過度に依存することへの懸念は残る。
特に、麻薬カルテルとの戦いにおいて、メキシコ軍が独自の戦略を確立するのか、あるいは米国の軍事支援に頼るのかという点が、今後の議論の焦点となる可能性がある。
メキシコ海軍の能力向上と今後の展望
メキシコ海軍(Secretaría de Marina, SEMAR)は、近年、特殊部隊の訓練強化に取り組んでおり、米国以外にもカナダ、スペイン、フランスなどの軍と共同訓練を行ってきた。特に、海上作戦や対テロ戦術の向上が求められており、今回の訓練はその一環として位置付けられている。
今後も、メキシコ軍と米軍の協力関係は続くとみられるが、メキシコ国内では「外国軍の介入をどこまで許容するのか」という議論が続く可能性がある。今回の訓練がどのような成果をもたらすのか、そしてメキシコの安全保障政策にどのような影響を与えるのか、注目される。

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