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米国のトマト関税で価格50%上昇の可能性 GCMAが警鐘
Grupo Consultor de Mercados Agrícolas(農業市場コンサルタントグループ:GCMA)のJuan Carlos Anaya代表は、米国政府がメキシコ産トマト(jitomate)に対して20.91%の関税を課す意向を示していることに対し、厳しい懸念を表明した。この措置が実行された場合、アメリカ国内でのトマト価格が最大50%上昇する可能性があると指摘した。
関税導入の背景とGCMAの見解 「商業的根拠は存在しない」
Anaya氏によれば、今回の関税措置は米国の一部生産者、特にFlorida州のトマト業者からの政治的圧力によって推進されており、商業的根拠や経済的な正当性はないとされている。
米国側は、メキシコからのトマト輸出がダンピング(dumping:原価以下での輸出による市場独占)に該当するとの主張をしているが、Anaya氏はこれを「根拠のない指摘」と断言した。さらに、メキシコと米国は長年にわたり農業分野で密接な依存関係を築いており、双方にとってトマトの自由貿易は不可欠な構造となっているとした。
加えて、既存のSuspension Agreement(協定停止合意)が撤回される可能性があることも、市場の不確実性を高める要因となっている。この協定はダンピング調査を回避するために両国間で合意されていたものである。
メキシコ産トマトの米国市場での依存度と流通実態
メキシコは世界で第7位のトマト生産国であり、アメリカ合衆国における最大の輸入供給国でもある。地元統計によれば、メキシコは毎年180万トン超のトマトを輸出しており、その98%がアメリカ合衆国向け、残りの2%がカナダに向けられている。輸出額は年間33億ドルを超えると推定される。
Anaya氏は「アメリカ市場はメキシコ産トマトに極度に依存しており、それを短期的に代替することは不可能である」と語っている。University of Arizona(アリゾナ大学)による研究でも、メキシコ産トマトへの関税が米国市場の価格を50%以上押し上げる可能性があることが示されている。
これは消費者価格の上昇だけでなく、飲食業界や食品加工業にも波及する影響が懸念されている。
Florida州の生産能力では米国市場を賄えない現実
アメリカ国内では、Florida州が主なトマトの生産地の一つとなっているが、その年間生産量は最大で100万トンにとどまる。メキシコからの供給量を考慮すると、この数字は全体需要を補完するには不十分である。
Anaya氏は「Floridaの生産者には供給量を増加させる余力がない」と指摘しており、今回の措置は市場原理に基づくものではなく、2024年11月の選挙でTrump候補を支持した地域への政治的見返りである可能性があると見られている。
Consejo Nacional Agropecuario(全国農業評議会)は「アメリカ市場で輸入されるトマトの90%はメキシコから供給されている」とした上で、北米農業の統合性と商業ルールに基づく信頼の維持を呼びかけた。
関税措置による影響 今後の輸出業者への打撃は必至
20.91%の関税が導入された場合、メキシコの生産者および輸出業者は価格競争力を著しく失うことになる。これにより、米国市場へのアクセスが制限されるだけでなく、国内トマト市場での価格調整や過剰供給も発生する可能性がある。
さらに、Suspension Agreement(協定停止合意)の失効によって、メキシコ産トマトに対する監視や報告義務が強化され、輸出手続きが煩雑化する恐れもある。結果として、輸出コストの上昇や流通の遅延が起こりうる。
このようなシナリオが実現した場合、メキシコ国内のトマト産業にとっては深刻なダメージとなり、雇用や地域経済にも影響が波及することが予想される。

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