
2025年4月5日、米国がアルミ缶に25%の新関税を発動し、メキシコなど主要輸出国に影響を与える。
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トランプ関税でアルミ缶に新たな25%課税が発動
2025年4月5日午前0時1分より、アメリカ合衆国はアルミ缶に対する25%の関税を新たに発動した。この措置は、aluminio enlatado(アルミ缶)を対象とし、完成品として輸入されるビール缶および国内で充填するために輸入される空缶の双方が含まれる。
この政策は、Departamento de Comercio de los Estados Unidos(米国商務省)が連邦官報(Registro Federal)にて4月3日に公式に公示したものであり、「Estados Unidos primero(アメリカ・ファースト)」を掲げるDonald Trump大統領の通商戦略の一環である。これにより、世界各国からのアルミ缶製品の対米輸出は大きく制限される可能性がある。
今回の関税は、3月12日に実施された鉄鋼およびアルミニウムに対する関税の拡大措置に続くもので、缶製品という消費財分野にも波及した点で注目を集めている。
メキシコは最大の供給国、169百万ドル規模の輸出に打撃
Observatory of Economic Complexity(OEC:経済複雑性観測所)のデータによれば、2023年におけるアメリカのaluminio enlatadoの輸入総額は4億1,100万ドルに達し、そのうちメキシコからの輸入が1億6,900万ドルと最も大きな比率を占めた。以下、カナダ(5,500万ドル)、ドイツ(2,830万ドル)、中国(2,420万ドル)、フランス(1,930万ドル)が続く。
この統計により、メキシコはアメリカにとって最大のビール缶供給国であることが裏付けられており、今回の25%関税の影響はメキシコのaluminio enlatado業界に直接的かつ深刻な影響を与えることが明らかである。
メキシコ国内ではGrupo ModeloやCervecería Cuauhtémoc Moctezumaといった大手ビールメーカーがアルミ缶を使用しており、缶の製造および輸出はアルミ加工業者にとって重要な輸出収入源となっている。これら企業の中には米国向けに空缶を輸出するだけでなく、完成缶ビールも多く供給していることから、影響は産業の川上から川下まで波及する構図となっている。
関税措置は北米サプライチェーン全体に打撃
今回の25%関税は、製品価格の上昇だけでなく、北米のsupply chain(供給網)全体に波及する影響が指摘されている。米国内のビールメーカーの多くはメキシコおよびカナダから缶を調達しており、その多くがNAFTA(現T-MEC)で構築された統合的な生産・物流体制に依存している。
業界団体であるBeer Institute(米国ビール協会)は過去の類似政策において、「アルミ関税の上昇は最終製品価格の上昇につながり、消費者へのコスト転嫁は避けられない」との声明を出しており、今回の措置についても同様のリスクが想定される。
また、メキシコ経済においてアルミニウム業界が担う役割は大きく、INEGI(Instituto Nacional de Estadística y Geografía:国家統計地理情報院)のデータによれば、アルミ産業は約3万人の雇用を直接的に支え、関連業種を含めると10万人規模に波及する雇用構造を持つ。
グローバル通商リスクの高まりと今後の展開
Donald Trump大統領は本措置を発表した4月3日を「día de la liberación(解放の日)」と称し、追加の関税政策も検討中であることを示唆した。対象国としては、メキシコに加え、欧州連合、カナダ、インドなども挙げられており、国際的な通商秩序の不安定化が懸念されている。
今後、メキシコ政府はSecretaría de Economía(経済省)を中心に、米国政府との交渉や、WTO(世界貿易機関)への提訴などの対応を迫られる可能性がある。特に、T-MECにおける関税免除条項や紛争解決メカニズムの活用が焦点となるだろう。
専門家の間では、「関税が長期化すれば、メキシコ製造業の競争力が低下し、外資系企業の対米輸出戦略が見直される可能性もある」との声が上がっており、今後の交渉の行方が注目される。

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