
半導体業界の株価が関税政策で大幅下落
2025年、アメリカの対中関税政策強化を受けて、半導体関連企業の株価が大きく下落している。代表的な業界指標であるÍndice de Semiconductores de Filadelfia(SOX、フィラデルフィア半導体指数)は、年初から4月までに15.89%の下落を記録し、3,990.9ポイントにまで下落した。これは2024年末に記録した4,979.9ポイントからの顕著な減少である。
この株価下落は、主にアメリカと中国の間で続く貿易戦争と、電子部品に対する新たな関税導入が投資家心理を冷やしているためだとされている。とくに半導体はスマートフォンやAI開発に不可欠なため、両国の経済・安全保障の最前線に位置づけられている。
特定企業で見ると、Advanced Micro Devices(AMD)は22.7%の値下がりで1株あたり93.40ドルとなった。また、Broadcomは21.5%減の181.94ドル、Texas Instrumentsは21.3%減の147.60ドルを記録している。台湾のTSMCも20.5%の下落となり、グローバルに影響が波及している。
米中摩擦激化と安全保障上の懸念
アメリカ政府は、半導体の生産・供給を国家安全保障に関わる重要課題と位置づけ、今後1〜2カ月以内に新たな関税措置を導入する可能性があることを示唆している。これは米国通商拡大法232条(Sección 232)に基づく措置で、国の安全保障に関わる物資に対する貿易管理を強化する法的枠組みである。
地元メディアInvestingによれば、ホワイトハウスの複数の当局者が記者団に対し、新たな調査を開始する意向を明らかにした。特に、スマートフォンやラップトップといったハイテク製品も対象に含まれる可能性があり、企業活動への影響は広範囲に及ぶ見通しである。
実際に、Appleの株価は2025年に入り20.87%下落し、198.15ドルとなっている。同社は中国に大規模な製造拠点を持っており、制裁の影響を直接受けている。他にも、Nvidiaが17.4%、Alphabetが17%、Qualcommが9.4%、Intelが1.6%下落するなど、広範な調整が見られる。
トランプ前政権の方針と関税政策の変化
Donald Trump前大統領は、自身のSNS「Truth Social」で、「スマートフォンやラップトップは、20%の関税の対象である」と発言し、「これはフェンタニル関連対策の一環である」と強調した。しかし、Casa Blancaはこれに対し、米国税関・国境警備局(Oficina de Aduanas y Protección Fronteriza de Estados Unidos)が更新したガイドラインでは、該当製品は最新の報復関税からは除外されていると説明している。
これに関して、アメリカ合衆国商務長官Howard Lutnickは、ABCニュースのインタビューで「関税は依然として存在し、ただ“別のカテゴリ”に移されただけである」と述べ、追加の制裁が避けられないとの見方を示した。
Lutnick長官は「半導体や電子機器の製造をアメリカ国内に回帰させることが国家安全保障の要である」と語っており、現在の措置はその布石にすぎないとみられている。
テクノロジー企業の対応と今後の展望
市場では、多くの企業が中国依存の製造体制を見直し、代替拠点を模索する動きが加速している。特にSuper Micro Computerのように製造拠点をすでにアメリカ国内に確保している企業は、株価が8.8%上昇しており、投資家からの評価が高まっている。
こうした動きは、T-MEC(Tratado entre México, Estados Unidos y Canadá:メキシコ・アメリカ・カナダ協定)圏内での再編や、「nearshoring(近隣国への生産拠点移転)」といったトレンドとも一致しており、メキシコにとっても今後の投資先として注目が集まる可能性がある。
また、メキシコ国内でもSecretaría de Economía(経済省)やProméxico(旧輸出促進機関)の後継となる外資誘致政策が再活性化しており、電子部品製造の移転先としての競争力強化が急務とされている。
半導体産業の構造変化は、メキシコを含む北米全体に波及する可能性があり、関連企業や政策当局の動向が注視されている。

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