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Sheinbaum政権が憲法訴訟の停止措置を無効化、新政令でSCJNの抑制権に制限
2025年4月4日、Claudia Sheinbaum大統領は、憲法第105条に基づくLey Reglamentaria(規則法)の改正を官報(Diario Oficial de la Federación)にて公布し、憲法訴訟制度に関する新たな制限措置を導入した。今回の政令により、将来的に提起される憲法争訟に対して、最高裁(Suprema Corte de Justicia de la Nación:SCJN)が暫定的な停止(suspensión)を下す権限が大きく制限されることとなる。
具体的には、改正法の中で以下の条文が明記された:
「一般的な規範に関する憲法争訟(controversias constitucionales)が提起された場合、その受理により当該規範の効力が一時的に停止されることは一切ないものとする。」
これにより、法改正や政令、一般法規に対して、訴訟中に効力を一時停止させる従来の手法が、今後は新しい規則のもと無効化されることになる。なお、今回の法改正は2025年9月1日以降に新たに任命されるSCJN判事に対して適用される。
改正法の背景にあるLópez Obrador政権との連続性
この法改正は、Andrés Manuel López Obrador前大統領が推進した「Cuarta Transformación(第4の変革)」において、何度も最高裁によって停止された複数の政策改革への対応として位置づけられる。
その代表例として挙げられるのが、2023年にSCJNのJavier Láynez Potisek判事によって一時停止措置が取られた、いわゆる「Plan B」と呼ばれる選挙制度改革である。この改革案はInstituto Nacional Electoral(INE:国立選挙機構)による憲法訴訟を受けて審査され、裁判が進行する間、施行が停止された。
また、2022年には、連邦政府による公共事業の国家安全保障指定に関する政令が問題視され、これに対しても旧Instituto Nacional de Transparencia, Acceso a la Información y Protección de Datos Personales(INAI:国家透明性情報保護機構)が憲法訴訟を起こし、一時的な停止命令を取得した。この政令は、公共事業に関する情報の非公開化を意図しており、「アクセス権と公共性の原則を侵害する」として批判された。
Sheinbaum政権は、こうした司法介入が政権の政策遂行に与える影響を最小限に抑えるため、今回の制度変更を推進した。
新法の範囲と制限、既存の裁判には適用されず
今回公布された法改正は、あくまで今後選出されるSCJNの判事にのみ適用されるとされており、現行の最高裁構成員による審査には影響を与えない。つまり、2025年9月1日より前に提起された憲法訴訟や、その時点で進行中の裁判には従来の規則が引き続き適用される。
加えて、改正条文には以下のような制限も盛り込まれている:
「憲法改正や憲法付属規範に関する訴訟(acciones de inconstitucionalidad)は原則として提起できない。」
これにより、今後は単なる政令や法律だけでなく、憲法自体への異議申立てにも制限が課される形となり、制度全体としてのチェックアンドバランスが抑制される可能性が指摘されている。
一方で、政権関係者はこれを「制度安定化のための改革」と位置づけており、政策実行力の強化を目的としたものと説明している。
司法制度改革と政治的文脈:2025年の判事選挙への影響も
今回の法改正は、2025年に予定されているSCJNの新判事任命プロセスに先駆けて発表された点でも注目されている。Sheinbaum政権は、より「市民参加型」の司法を目指すとして、選挙による判事選出制度の導入を掲げており、その準備の一環として今回の改正が位置付けられている。
今後、選出される新たな判事は、すでに規定された新制度のもとで職務を行うことになる。これにより、将来的には政権と司法の関係構造が大きく再定義されることが予想される。
一部の法学者や市民団体からは、「権力集中の危険性」や「立法権と司法権の分離原則への抵触」が懸念されており、今後の制度運用や司法判断の動向が注視されている。

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